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活動事例

活動実績
演技ワークショップ 関西演劇ワークショップ Vol.8「マスクと即興」-演じる喜び-
case#001
 
共催: 京都芸術センター
助成: 財団法人 セゾン文化財団
後援: ブリティッシュ・カウンシル
期間: 2001年8月31日(金)〜9月2日(日)大阪市立芸術創造館 大練習室
2001年9月 4日(火)〜9月6日(木)京都芸術センタ− フリ−スペ−ス
     
    □講師略歴
□どんなことがワークショップで行われたのか?
□受講者の声(アンケートより抜粋)
□Roddyからのメッセ−ジ
     

■講師略歴
Roddy Maude−Roxby(ロディ−・モ−ド・ロックスビ−)

俳優・演出家・マスク製作者。1964年、キ−ス・ジョンストンらと共に英国初の即興とマスクを主体とした劇団シアター・マシーンを創設。マスク製作者としても名高い彼のマスクは、著名な演出家達−ジョ−ジ・ディバイン、ビル・ギャスキル、ピ−タ−・ブルック、そしてキ−ス・ジョンストンらが芝居に用い、また新グロ−ブ座、オペラ・ノ−ス等を含め数多くの国内外の劇団が用いている。1990年、劇団Alice’s Dinerを創設。マスクと即興の指導者として、ロイヤル・アカデミ−・オブ・ドラマティック・ア−ツ(RADA)、ロンドン・アカデミ−・オブ・ミュ−ジック・アンド・ドラマティック・ア−ツ(LAMDA)等で教える。


■どんなことがワークショップで行われたのか?
 今回のワ−クショップでは長年RADAやLAMDAでマスクと即興を指導しているロディ−・モ−ド・ロックスビ−を招聘し、3日間の集中ワ−クショップを2クラス行いました。大阪クラス16名、京都クラス11名の合計27名の受講者のみなさんが1日に5時間ずつ、計15時間のワ−クショップに参加されました。

 ロディ−が持参したマスクは40個ほど。その殆どは彼自身が制作したものです。今回は、フルマスク(全面のマスク)、ハ−フマスク(半面のマスク)、ビッグマスク(大きいマスク)とスモ−ルマスク(小さいマスク)の4タイプのマスクを用意しました。ワ−クショップでは 1日目にフルマスク、2日目にはハ−フマスクを加え、3日目にさらにビッグマスクとスモ−ルマスクの4タイプを加え、マスクのタイプ別の特徴をふまえ、その表現方法を様々なエクササイズと共に行いました。

*画像はクリックしていただくと大きなサイズでご覧いただけます。

○ハ−フマスク○
 声を使った表現をしないフルマスクに対し、ハ−フマスクは「話ができる」マスクです。「話ができる」ことによって観客に提供される情報が増え、そこに展開されるスト−リ−の面白みが増していきます。

○フルマスク○
 フルマスクは殆どのマスクが口を開けないで作ってあります。つまり「しゃべれない」わけなんですが、ロディ−はこのフルマスクをつけた俳優を「しゃべれない」存在としてではなく「自分でしゃべらないことを決めた」存在として扱っています。これはフルマスクをつけて表現をする場合「マイム(身振りや動作によって指示を出す)をしない」という決めごとです。たとえば、マスクをつけない俳優とフルマスクをつけた俳優が一緒にいる場合、マスクをつけていない俳優の話や問いかけに対してフルマスクをつけた俳優が身振り手振りで答えた場合、その場面を見ている人には「あのマスクはしゃべりたいのに口がきけないのだ」と見えます。フルマスクは「自分でしゃべらないことを決めた」ル−ルの中で発揮できる効果的な表現方法を持っています。

○ビッグマスク○
 ロディ−はこれを「子供のマスク」と呼んでいます。見た目がいわゆるかぶりもの系の大きな作りなので、装着者は3〜4等身の「子供」のよう見えます。このマスクも「自分でしゃべらないことを決めた」マスクです。顔が大きいのでおのずと動作が大きくなってきます。

○スモ−ルマスク○
 ビッグマスクとは対称的に人間の顔の半分以下の大きさのマスクで、これを装着する場合は装着者の身体全体を覆うようなコスチュ−ムが必要になります。そうすることによって、マスクの大きさが現実味を帯びてきます。このマスクも「自分でしゃべらないことを決めた」マスクです。どちらかというとパペット(人形)に近いマスクです。

*     *     *

 ロディ−はどのタイプのマスクも、一番始めにつけてもらうとき、どんな顔のマスクか装着者には判らないようにしてつけました。つけている人以外はどのマスクか判かるのですが、装着者は自分がどんな顔のマスクをつけているのか判りません。装着者は自分が何者か判らないまま、何となく動いてみたりすると見ている人から笑いなどの反応が返ってきます。その反応がマスク装着者の次のアクションを導き出すわけです。マスク装着者は常に観客側にマスクを向けることを忘れてはいけません。相手と会話していたとしても、必ず観客側にマスクを向ける。そうしないと観客側からはマスクの側面や「マスクをつけた人」と見えてしまい、「マスク」そのもののキャラクタ−の存在が損なわれてしまうからです。また、マスクは「最小限の動き」だけで十二分にそのマスクの意思を伝えることが出来ます。マスクをつけている俳優は「自分がこの場をコントロ−ルしなければならない」という観念から「状況にゆだねる」という存在になり、そうすることでその場面はとても面白くなります。

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■受講者の声(アンケ−トより抜粋)
  • 「やたらに顔で演技をしてしまう私にとって1つの顔しか持たないマスクの表情の変化に感動した。作り過ぎる自分の演技を見つめ直すチャンスとなった」(大阪クラス 芸歴8年 女性 34歳 奈良県奈良市)

  • 「面白いと思ったことは沢山あるけれど、特に今まで受けたワ−クショップとの違いは「演じ手と観客との感じ方のギャップ」という点。もちろん一致していた時もあったけれど。例えば、仮面を付けた役者がそこに立っているだけで客は世界の始まりを感じてしまったり(特にフルマスクではただ顔を動かしただけで笑われたりしたので不思議な感じだった)見ている者の想像力をかきたてる力をマスクは強く持つのだなあと思った」(京都クラス 芸歴15年 女性 39歳 大阪府大阪市)

  • 「消化不良気味です。ロディ−が伝えたかったことは3日間では足りなかったのではという気がします」(大阪クラス 芸歴14年 女性 32歳 大阪府茨木市)

  • 「マスクをつけることで自分をより遠く飛ばせる瞬間を感じました。子供のマスクをつけたときが一番楽しかった。大きなやつ。何をやっても良いような気がして楽しかった。話せる人として入っていくのは、なかなか難しかった。」(京都クラス 芸歴18年 女性 37歳 京都府京都市)

■Roddyからのメッセ−ジ
 初めて来日した日本でのワ−クショップは私にとっても有意義な体験でした。英国の演劇学校の殆どはカリキュラムの中にマスクという授業が入っていますが、仮面劇をするためにマスクを学ぶのではなく、俳優のトレ−ニングの一環としてとらえられています。今回のワ−クショップではマスクを使った即興や芝居を創造しましたが、マスクをつけたことによって得られた(いいタイプの)質は繰り返し行っていくうちに、マスクなしでも得られると思います。仮面劇とは無縁な俳優にとっても有効な「キャラクタ−になる」トレ−ニングの、ほんの一部を体験していただけたことと思います。

文責:川南 恵(2001年10月)

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