May 28, 2004
Motley Theatre Design Courseの授業について
Motley Theatre Design Course(以下Motley)は毎年9月末から始まります。
1年3学期のコースで、1学期が12週間から13週間。1学期に2つの「プロジェクト」があります。「プロジェクト」とは生徒が取り組む課題のことで、1本の芝居の舞台美術デザインと衣装デザインを6週間で仕上げます。1つのプロジェクトの最後には「crit」という講評が行われます。
プロジェクトには毎回指導教師が1人つきます。演出家であったり、舞台美術家であったりしますが、みんな現役の方ばかりです。他にもモデルメイキングやコスチュームの指導教師、ゲスト教師が随時授業を行います。イングリッシュナショナルオペラやロイヤルオペラハウスのドレスリハーサル(ゲネプロ)の見学もありました。
私の入学した1990年、1学期は9月24日から12月15日までの12週間でした。
当時のスケジュール帳を見ると、第4週目の授業はこのようになっていました。
月曜日
10:00-13:00 指導教師ヘイドン・グリフィンによる「ストーリーボード」作成指導
14:00-17:00 アントニー・ウォーターマンのモデルメイキング授業
火曜日
10:00-13:00 ミセス・アントニーのコスチュームの授業
14:00-17:00 指導教師補佐クラウディア・メイヤーの授業
水曜日
10:00-13:00 イングリッシュナショナルオペラの「ファウスト」ドレスリハーサル見学
14:00-17:00 自主制作
木曜日
10:00-13:00 マデリン・ハーバートのマスクの授業
14:00-17:00 アナ・スタブスの授業
金曜日
10:00-13:00 ミセス・アントニーのコスチュームの授業
14:00-17:00 自主制作
スケジュール帳には17時の授業のあとにも遅くまで教室に残ってモデルメイキングやストーリーボードを作ったとあります。生徒は全員鍵をもらってますので、夜中まででも、土日でも、いつでも学校で作業ができたのです。
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今日はMotley時代の恩師、パーシーの誕生日です。
生きていれば100歳です。
e-mailでみんなで祝おう!って廻ってきました。
おめでとう、パーシー!
Percy would have been 100 today.
Let's raise a glass and remember Motley.
投稿者 川南 恵 : 12:03 PM | コメント (0)
May 26, 2004
観客獲得への戦略:都市部への居住者増加
先週末東京へ行きました。電車から見える超高層マンションにはほんとうに目を見張ります。品川駅近辺の街並みも新幹線の駅ができたことで大きく変わっています。平成15年度東京都住宅白書 -都心居住の第二幕- にはバブル期を通じて大きく落ち込んだ東京都心部の人口が急速に回復していると書かれています。平成16年1月1日の人口データでは千代田区、中央区、港区の都心3区は前年に比べ7,849人増加しています。
京都市の人口推移も調べてみたのですが、中京区を中心に下京区、上京区と都市部への「転入」が平成9年より増加に転じています。この地区での大型マンションの建築が進み、人口が増加している結果だと思います。中京区では平成9年10月に91,559人だった人口が平成16年5月には99,790人と8,127人の増加。夜、中京区にもどってくる人が約8千人、増えているのです。
都市居住は人々のライフスタイルを変えてゆくでしょう。余暇時間の利用にも変化が起きるはずです。都市部への居住者増加と、観劇人口を増やすこと、この2つ、関連づけられられないでしょうか?
このコラムでは、「観客獲得への戦略」というテーマについても随時、考えていきたいと思います。
投稿者 川南 恵 : 11:15 AM | コメント (0)
May 21, 2004
葵祭と観光客
葵祭が5月15日にありました。汗ばむくらいの良い天気です。散歩がてら京都御所(御苑)堺町御門近くへ。すでに沢山の観客が沿道にあふれています。柳馬場通角に陣取って、しばし待っていますと、すぐ後ろの観光客らしき3人のおしゃべりが耳に入ってきました。そのおしゃべりが可笑しくて、おもわず目は行列に向けつつ、その会話に聞き耳を立ててしまいました。
20代後半の男性「あれ、まだかな。お、出発しました」
その母親らしき女性「あら、なんだか、地味ねえ。音楽とかないの?」
母親の友人らしき女性「そうね、らたらたして、のろいわね」
20代後半の男性「傘みたいなのがでできた。お、すげー、牛がいる!」
その母親らしき女性「あら、牛も鳴くのね」
20代後半の男性「まだ終わらないの?」
母親の友人らしき女性「なんとかっていう女の人はまだかしら」
その母親らしき女性「あら、あれじゃない?」
20代後半の男性「(十二単の斎王代を見て)あれ、人形だよ。うごかないじゃん」
人形じゃないですよ、正真正銘人間です。重さは30kgもある、着付けは2人がかりで3時間かかる十二単衣で動けますかね。腰輿から手でも振ると思ったんでしょうかね。
別に博識である必要はないのですが、ほんの少しだけ、事前にわかっている知識があると、より一層、葵祭、楽しめると思いますよ。
演劇をやっている人、葵祭を単なる観光客相手の行列と思っていませんか。
葵祭といえば、源氏物語「葵の上」でしょう。お能、そして三島由紀夫の「近代能楽集」にも関係があります。美術的にも平安時代の道具、衣装の参考にもなります。一度じっくり見て下さい。
今年は京都御苑で行列の馬2頭が突然暴れ、1頭は御苑外に逃げ出してしまいました。逃げた馬は、一般道を走り、中京区丸太町通新町交差点付近で乗用車に激突し、左フロントガラスを割ってさらに逃げ、バイクで追い掛けていた行列参加者に堀川御池付近で捕まえられたそうです。
原因は観客のカメラのフラッシュ。
警備の警察からは再三警告されても、守られないようです。
馬は大変デリケートな生き物なので、是非、マナーは守っていただきたいものです。
投稿者 川南 恵 : 05:43 PM | コメント (0)
May 20, 2004
私も知りたいです!演劇人の年金加入率
劇団桃唄309の制作者、岩佐暁子さんが5月18日付けのせいさくのしごと で;
「ちょっと話は違うんだけど実は気になっていることがあります。演劇の人は稽古でよく都内の区民センターとか使うでしょう?でも、その中で、税金も保険も年金もちゃんと納めてる人ってどのくらいいるんだろう?そもそも稽古場にその地域住民以外の人間があふれているのは目をつぶるとして、ついでに国の作った諸々のシステムの不備にも目をつぶるとして、払うもん払わない人には使わせてくれという権利は無いのではないかしら???と思ってしまうのです。」
と書かれていますが、20才を過ぎた演劇をやっている人がどの位一般の社会人としての義務を遂行できているか、私も知りたいです。
皆さんどうなんでしょう?確定申告して税金治めてますか?健康保険料払ってますか?年金払ってますか?「芝居とバイトでお金なんかないから」という理由で、やっていない人、沢山いると思うんですよ。でも、義務を果たさずに、権利だけを主張するってどうでしょうかね?
国や地方自治体の助成金だって、そうですよね。義務を果たしていない人には、申請する資格、ないんじゃないでしょうか?
岩佐さんも「fringeで、演劇人の年金加入率とか、アンケートとらないかな」って書いていますが、私からもお願いします。アンケート、是非、取ってみて下さい。
投稿者 川南 恵 : 03:29 PM | コメント (0)
May 19, 2004
イス席、大歓迎です
昨年暮れにちょっと腰を痛めて以来、桟敷席を使用している小劇場公演にまったく行きたくなくなりました。以前より膝を圧迫する桟敷席は嫌いでしたが、まあ、なんとか我慢して観ていました。しかし、もういけません、腰痛を誘発する姿勢での観劇はできなくなりました。
最近は京都の小劇場でもイス席が導入されつつあります。京都芸術センター セレクションVol.12烏丸ストロークロックの公演でもイス席でしたし、ごく最近アトリエ劇研 もイス席の導入を始めました。劇研ではイス席を使用するか否かは各公演団体によるそうです。観客も10代から20代の若い年代でしたら、ぎゅうぎゅうに寄り添っての観劇もまた楽しいのでしょうが、より多くの観客に観てもらいたい公演は、是非「どの年代にもやさしい」イス席を導入して欲しいと思います。
客席をどう「デザイン」するかは制作者にとって、とても重要な「戦略ポイント」だと思います。座席によって、どのような観客に足を運んでもらいたいかが具体的に見えてきます。「どうぞゆっくりとしたコンディションで観劇に集中してください」というホスピタリティ(もてなす心)が「このカンパニーはお客に対して真剣である」という印象を与え、リピーター獲得やクチコミのプラス要因になるでしょう。
そして、イス席を取り入れたら、次のステップは、指定席の導入、ですね。
投稿者 川南 恵 : 09:51 AM | コメント (0)
May 17, 2004
観劇感想2「惑星組曲」(電視游戲科学舘)
アートコンプレックス1928でロングラン上演中の 電視游戲科学舘 の「惑星組曲」を観劇してきました。京都を拠点にロングラン公演や大がかりな舞台装置などで話題の劇団ですが、私は初見でした。日曜のマチネで観劇、休憩を挟んで2時間半という小劇場としては長いお芝居でしたが、私はとても楽しみました。
私は基本的にジャンルやスタイルにこだわらずなんでも積極的に見て、「楽しめるか」「楽しめないか」の2つ基準で判断するタイプの観客です。観劇の最中に時計を見たり、終演後どこに食事に行こうかと考えてしまう場合は、私にとって楽しめなかったことになります。
「惑星組曲」は長い上演時間でしたが、まったく時計も見ることなくリラックスして、そして目の前に繰り広げられる世界に集中できました。舞台美術もよく出来ていて、空間の処理も巧みです。小劇場で活躍している俳優さんが出演していましたが、程良く力の抜けた楽な演技で、見ている側を疲れさせることもありませんでした。老若男女をとわず、誰でも楽しめる良質のエンターテイメントだと思いました。
今回は1人で観劇しましたが、同年代の友人や高齢の両親、中学生の姪っ子など、どの年齢の人を誘っても見に行ける内容で、このタイプの演劇がとても少ない京都では貴重な公演だと思います。この劇団の次回公演が楽しみです。
投稿者 川南 恵 : 09:56 AM | コメント (0)
May 14, 2004
水曜マチネ、大歓迎です
大阪の演出家の方から6月公演のチラシをいただきました。京都に住むようになってから「芝居を見に」大阪に行くのがとても億劫になっていたのですが、そのチラシを見て嬉しくなりました。平日にマチネがあります。それも水曜と木曜の2回。さらにマチネ料金は500円安い。この公演が大阪梅田HEP HALLの「Early Week Project 平日を楽しもう」なんですね。
ロンドンに住んでいる時は、よく水曜マチネに行きました。平日マチネは公演によっては割引料金を導入していましたので、お得でした。シニア割引もあったようで客層はお年寄りが大変多く、そして1人で見に来られている方も少なくなかったのです。お隣の年輩の方から「私は毎週水曜日は観劇に来るのよ」と話しかけられたりもしました。
そういえば、最近、京都の病院の待合室で年輩の女性の方たちが「お芝居を見に行くのは昼間がいいわね。年をとってくると暗い夜に出歩くのは足もとが心配だわ」とおしゃべりしていたのも聞いたことがあります。
平日マチネ公演はお年寄り、学生、お子さんのいる方、仕事である程度日中の時間のやりくりのつく人にとって「優しいサービス」だと思うのです。
おまけにこの公演、開演が15時で指定席。午前中しっかり仕事して、昼食をとって、電車に乗って大阪へ。開演の1分前に劇場の座席に着けばいいのだという喜びで、久しぶりに前売りチケットを買うことに決めました。終演後は割引で得した500円でゆっくりお茶でものみましょうか。
投稿者 川南 恵 : 11:31 AM | コメント (2)
May 10, 2004
お奨めの本「地図を創る旅」/劇団主宰者・制作者
「地図を創る旅」青年団と私の履歴書
著者:平田オリザ
出版社:白水社
価格:1800円+税
この本は2004年4月に出版されました。青年団 の主宰、劇作家の平田オリザさんの自伝エッセイで、1982年の青年団の誕生から1991年までの青年団と平田さんの軌跡が詳しく書かれています。なかでも私が大変興味深く読んだのは青年団という劇団が今日までどのように「生き残り、そして成果を上げていったか」のプロセスです。劇団の主宰者である、演出家/プロデューサー/制作者の方に、是非読んでいただきたい1冊です。
以下、「地図を創る旅」93Pより抜粋
多くの劇団は、結成当時の興奮を引きずって、「こんなはずではなかった。あの熱狂はどこに行ってしまったのか」と問い続けながら、やがて衰退し、雲散霧消していくのだ。青年団がいまも存続しているのは、紙一重の奇跡に過ぎない。いくつもの危機を乗り越え、奇跡的に作業を継続できた集団だけが、ある種の芸術的成果を手にすることができる。日本でいま演劇を続けることの困難は、そこにある。
だが、この奇跡をもたらすのは、決して偶然だけではない。やはりそこには、強い意志と信念と、そしておそらく、芸術的なセンスが必要とされるだろう。いまどちらの方向に集団の舵をきっていけばいいのかという、演出家あるいはプロデューサーとしてのセンスが何よりも問われるのだ。
投稿者 川南 恵 : 10:49 AM | コメント (0)
May 08, 2004
自分の行動を「具体的に測る」ことについて
舞台照明ブログ の点灯夫/つのさんが、5月8日のコラムで「手っ取り早く向上する方法は測ってから図る」と書かれています。みなさん、是非、読んでみて下さい。
たとえば、アシスタントデザイナー時代の私は、トレーニングの末に、A3サイズ1枚を大体6時間で描けるようになりました。これは30分の1縮尺の「東京文化会館規模のオペラ/バレエの公演道具帳」で、時代がゴシック様式やロココ様式の建築など、大変細かい描き込みが必要なドローイングです。こうやって「自分の絵を描く能力」を時間に測って、全幕がいつまでに上がるかを図り、作業スケジュールをたてました。
たとえば、今の私は助成金申請書類1通を完成させるのに、実働1日半ほどの作業時間がかかります。その測りに沿って他の作業が入っていることも考慮し、申請書1通完成に対して3日から4日の「図り」をおこないます。
もちろん、これらができるまでには、実務経験が必要です。そして、その実務経験を生かすためには「頭」を使わないといけないと思います。
点灯夫/つのさんのブログ、毎回、勉強になります。ありがとうございます。
投稿者 川南 恵 : 10:16 AM | コメント (1)
May 07, 2004
英語の上達と日本語の上達の関係性
英語の上達には、「日本語の能力」の上達が不可欠です。日本語の語彙力が低ければ、それに対応する英語のボキャブラリーは増やせないでしょう。専門分野であればなおのこと、その分野でしか使われない日本語の単語を知っておく必要があります。
日本語を英語に/英語を日本語に翻訳することでは「英語ができなければ翻訳できない」と思いがちですが、それは違います。翻訳に求められるものは英語力ではなく、実は「日本語力」、つまり日本文化の知識とそれを表現できる能力なのです。もっと言えば日本語思考の特性を理解できることでしょうか。
日本語能力アップには英語をマスターする時と同じく「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つがバランスよく必要です。そして「日本語で書く・話す」ことについては、徒然なるままに心に浮かぶことを書き綴る/話すのではなく、「自分の思考を論理的に考え、それを言葉にできる」ことが、英語の上達にも大きく影響を与えることを知っておく必要があります。
小劇場系の俳優やスタッフ、演出家などが海外留学の為に英語を勉強している、と仮定しましょう。この場合、特に勉強が必要とされるのは、自分達の活動以外の舞台芸術に関する豊富な知識とそのボキャブラリーでしょう。能、歌舞伎、文楽といった日本の伝統芸能から、コンテンポラリーシアター、そして他のアートに関する幅広い知識、政治経済、社会一般の常識的な知識の習得、そしてそれらを「論理的に会話出来る能力」が必要です。英語の「日常会話」が出来るだけでは、滞在国のアーティスト達との突っ込んだコミュニケーションは取れません。
日本の芸術や文化を、日本の社会を日本語で勉強する。このプロセスは遠回りのようで、実は英語の上達のためのshortcut、近道なのです。
投稿者 川南 恵 : 09:38 AM | コメント (0)
May 04, 2004
失なわれた3時間
小劇場系の劇団のほとんどが劇団員が手分けして制作の業務を兼任していると思うのですが、その1日のスケジュールってどうなっているのでしょうか?劇団員は団費や参加費を払いこそすれ、劇団からの収入があるわけではありませんから、アルバイト等で生計をたてているのでしょう。
ということは、劇団員は俳優(演出家)、制作、アルバイトと3足のわらじを履いていることになると思います。劇団の稽古は平日は大体夜の時間帯でしょうから、それまでの間、もしくはそれ以降にアルバイトを入れているとして、制作の仕事はその合間をぬっての分業でしょう。時には睡眠時間を削っての作業もあるのでしょう。劇団員の1日の制作作業に費やす時間はどの位でしょう?
私は劇団員が制作作業を分担して行う場合の最大のデメリットは「稽古時間中には制作作業が停止してしまう」だと思います。
公演にむけての稽古期間が2ヶ月間だと仮定して、夜の3時間ほど、稽古が進行している時に、制作作業は中断されます。単純な計算で月25日稽古したとして2ヶ月間、3時間×50日=150時間の違いが生まれます。
この150時間がその劇団にとって「公演に必要不可欠な制作作業時間」であれば、劇団員たちが1人1人の1日24時間の中で、何某かの犠牲を払って、この時間を生み出さなければなりません。または、この150時間が「さらに充実した公演を行うために必要な時間」であれば、150時間を作り出せない劇団は、何度公演を行っても向上していきにくい体制にあるということになります。
この150時間、1時間1000円として15万円、これを予算計上して「誰か外部の制作者」へ作業を依頼することも可能でしょう。15万円を、助成金で獲得するか、外部制作者を入れることによってのチケット収入増加で補填できるか、劇団員でそれを割って捻出するか、方法はいろいろあると思いますが、「失われた3時間」を「買いもどす」ことで得られるメリットはとてもとても大きいのではないでしょうか?