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April 30, 2004

平日のマチネ公演をもっと多く

昨日からゴールデンウィークに突入したので、芝居でも見に行きたいと思って公演を調べていて気がつきました。京都の小劇場系の公演、29日も今日30日もマチネがありません。うーん。マチネがあれば、2日とも出かけたのに。。ほら、こうやって芝居見に行こうかなって気分になった人を1人、失いました。

芝居を見に行きたい人が全員9時5時、土日休日の仕事に従事する人間ばかりではありません。最近は多種多様な勤務時間で仕事をする人の方が多いのではないでしょうか?にもかかわらず、小劇場系の公演スケジュールはまだまだ週末重視、マチネは土日祝のみ。ロングラン公演をおこなっているカンパニーでも平日マチネはありません。

たとえば、映画はシネコンブームで、1つの建物の中に数本、朝から晩まで上演をおこなっていますので、お目当ての映画が満席でも、他の1本を見ようという行為が可能です。もちろん、演劇はライブですので、1日の公演回数には限りがあると思いますが、どうも工夫をこらさず、今までの慣習で公演日程をたてているようにしか思えないんです。知りあいの既婚女性は小学生の子供さんがいます。ゴールデンウィーク中は小学校はカレンダー通りの休み。今日は昼間なら出かけられるのではないでしょうか?30代の女性は結婚前は結構芝居を見ていた世代だと思います。この潜在観客に対して「お母さん応援マチネ」なんて、出来ないでしょうか?

平日マチネを実行したとして、集客できなかったという経験のあるカンパニーもあるでしょうが、それは、マチネに来られそうな観客の「開拓」ができていないからの結果に過ぎないと思います。1度の挑戦であきらめず、未開拓の観客層にアプローチすれば、一般の社会人で、昼間にしか芝居を見に行けない人の観劇率は高くなるのではないかと思います。fringeのナレッジにも公演日程の工夫がかかれていますので、もっともっと積極的に「新規の観客開拓」の努力をして欲しいと思います。

単純に比較するのは乱暴だと思うのですが、私がロンドンに住んでいた時は、芝居は見たくなればいつでも見に行けました。どの曜日でも、どこかでマチネをやっていましたので、とっても便利で、ほんとうに沢山の芝居を見たんですが、ね。

投稿者 川南 恵 : 10:52 AM | コメント (0)

April 23, 2004

小劇場公演のチラシの謎

この週末くらいからゴールデンウィークにかけて、今年度の最初の演劇公演をする劇団が多いのではないかと思います。小劇場にいってチラシの束をもらうと、最近のチラシデザインの凝り方に感心してしまいます。フルカラーで、イラストや写真などでデザインされたあのチラシ、制作するのにいったい幾らかかっているのでしょうかね?でも、そのチラシを見て、「見に行こうかな?」と思う劇団は、実はあんまりないです。

「一般客」としての私がチラシから欲しい情報は「どんなお話か」です。そして小劇場系のほとんどのチラシに「この芝居は、どんなお話か」という情報が載っていないと思うのです。

写真やイラストで「こんな雰囲気」と描かれても、また、話の内容とまったく関係なく劇団の「好み」でデザインされているチラシにもがっかりします。さらに、ストーリーについてなにも書かれて(描かれて)いない場合、「もしかしてこのチラシを刷る段階で、台本、完成していない?」と思うことも。

イメージ先行のデザインで構成されたこのチラシは、一体誰に向けて作られているのでしょうか?

友人や知人といったいわゆる身内客には、こんな豪華なチラシは必要ないはず、では、一般客へ向けてのものなのでしょうか?でも、一般客の欲しい情報がチラシには掲載されていない。スペースがたりないのかもしれませんが、でも、スタッフやキャスト、協力いただいた方々は克明に記載されていたりします。

なんか変です。どっか掛け違えたボタンのように感じるのは私だけでしょうか?
謎です。

投稿者 川南 恵 : 03:54 PM | コメント (3)

April 19, 2004

お奨めの本「身体意識を鍛える」/俳優・演出家・制作者

「身体意識を鍛える」
著者:高岡英夫
出版社:青春出版社
価格:1300円+税

この本は2003年11月に出版されました。最近「ゆる体操」で有名になっている高岡さんの本です。

劇場に芝居を見に行って、観客席にいる私まで身体を固めてしまいそうな、がちがちに緊張した身体のままの俳優を見かけます。特に小劇場系の若い俳優に多いと思います。テンションという言葉を好んで使う彼らは「緊張する」ことが集中力を高め、エネルギーを高め、そのエネルギー放出できることだと考えているような、そんな演技をしています。でも、本当は身体を「リラックス」させることが「覚醒した集中」への近道なのです。

この本の中ではスポーツ選手や俳優の例をあげながら、身体づかいの極意を具体的に解説しています。身体のことがまだよくわからない若い俳優の方に、特に読んでいただきたい1冊です。

投稿者 川南 恵 : 05:43 PM | コメント (0)

April 13, 2004

制作者がいるからこそ劇団は進む

平成16年度の芸術文化振興基金の発表がHP に掲載されています。その顔ぶれを見て、きちんとした制作者がいる団体、もしくは長年の経験で団体内での作業がうまく分割されている団体がやっぱり、助成金を獲得できているなあと思います。もちろん「芸術的」評価の高いのは当然ですけれど、同じ位の評価ができそうな団体が顔をだしていないのは、1.申請していない、2.申請しても通らなかった、3.申請できないの3パターンなのでしょう。そしてどのパターンにしても、「制作者/プロデューサー」の有無が関わっているなと思います。

関西地域では主宰者、主に小劇場系劇団では劇作家/演出家が「船長」としてその集団の進路を決めているのだと思います。

助成金は毎年秋から年末にかけてが申請のピークになります。ということは、劇団などが公演で一番忙しい時期に次の年の企画をたて、申請しなければならないということです。毎日公演の稽古があって、演出家は大忙し、頭が廻りません。じゃ、誰が来年以降の劇団の「進路」を決められるのか?

制作者/プロデューサーは劇団の「舵取り」になるべきなのだと思います。時として船長に「危険な進路を変更させる」くらいの「同等の立場の人間」が1人、絶対必要なのです。

舞台照明ブログ の点灯夫/つのさんが、『推進派「演出・役者・音響・照明・道具・衣装などなど」、抑制派「舞台監督・制作」』と書かれていますが、私も推進派=演出家と抑制派=制作/プロデューサーは兼任出来ないと思います。2人いて初めてバランスが取れる、ヒエラルキーが緩和されるのです。

最近、若手の専任制作者が劇団を離れた話をちらほら耳にします。ある人は体調を壊し、ある人は主宰者と決別してと理由は様々ですが、「あの船(劇団)、まもなく、ね」と思ってしまうのは私だけでしょうか。

投稿者 川南 恵 : 04:36 PM | コメント (0)

April 12, 2004

お奨めの本「俳優のノート」/俳優・演出家

「俳優のノート」
著者:山崎努
出版社:メディアファクトリー
価格:2300円+税

この本は2000年3月に出版されました。俳優山崎努氏の「リア王」出演までの準備期間も含めた約6ヶ月の日記です。

俳優の生理、日常生活、芝居への準備、稽古、本番の様子が描かれています。「リア王」は演じるのには相当タフな芝居です。それに挑戦する61才の山崎氏の、演技に対する貪欲な分析が詳しく書かれています。久しぶりに読み返して、納得できる言葉に沢山出会えました。

「声に出して台本を読む。せりふの言い廻しを考えるのはよくない。作曲(声の強弱、音色、テムポ、間、クレッシェンド、ディミニュエンド等々)はいずれしなくてはならないが、まだまだ先の話。今は役の人物の吐く言葉を実感する作業。」(原文ママ)

「稽古にはきちんと仮説を立てて臨むこと。生きた演技は時間の中で成立している。時間が大事。稽古中の時間を止めることの出来るのは演出家だけだ。俳優が勝手に時間を止めてはならない。相談、質問は稽古時間外にすること」

若い俳優の方に、これだけのキャリアのある俳優が、役作りに純粋に悩み、格闘している姿を知っていただきたいと思います。

投稿者 川南 恵 : 11:16 AM | コメント (0)

April 09, 2004

演出家はタフでなければならない

私の知りあいの演出家達(劇作家を兼任しない)はみんなタフです。精神的にも肉体的にもとてもタフ。彼らは皆それで生計を立てているプロですが、本当によく働きます。稽古時間も毎日1日6時間から8時間位は普通にこなしますし、その合間に、その芝居のスタッフとの打ち合わせ、また先に予定されている芝居の打ち合わせや戯曲を読む時間、そしてお酒を飲む時間もしっかり確保しています。

ロンドン在住のある有名な演出家は、2人の子供とオペラ歌手の奥様の4人家族です。奥様もメジャーなオペラ歌手なので、時々海外公演などで家を空けるのです。そんな時、彼は朝10時から夕方6時までの自分の稽古が終わると、真っ直ぐ帰宅し、ベビーシッターから2人の子供を引き取ります。そして子供達に夕食を作って食べさせて、お風呂に入れて、本を読みながら寝かしつけるという「パパ」をきちんとこなしていました。子供達が眠ってからが、彼の「勉強時間」だったようです。よくそんなタフな生活ができるものだと訊ねたら「家族も芸術もどちらも僕に必要なこと、そのバランスをうまくとることが、質の良い作品を生み出すことにもつながるよ」と言っていました。

日本で活躍されている演出家も、海外で活躍されている演出家もそのタフさには変わりはありません。タフでなければ「演出家」を職業にはできないのですね。もちろん、デザイナーもスタッフも俳優もプロになれば同じだと思います。でも超多忙である=タフではないと思います。自己の健康管理もできて、普通の生活もできて、そして芸術にも没頭できるということが「真のタフさ」ではないでしょうか?アンバランスな日常生活は継続するのは難しい、そしていつかきっと破綻を来す、そう思います。

投稿者 川南 恵 : 11:34 AM | コメント (0)

April 08, 2004

Motley Theatre Design Courseについて

Motley Theatre Design Course(以下Motley)は1966年にマーガレット・「パーシー」・ハリスによってサドラーズ・ウエルズ・オペラ、のちのイングリッシュ・ナショナル・オペラの付属コースとして創設されました。以後、Motley は1972年オールドゲイト、1981年リヴァーサイド・スタジオのハマースミス、1987年アルメイダ・シアターのエンジェル、1991年ロイヤル・ナショナル・シアター・スタジオのウォータールー、1992年コヴェントガーデン、1994年から現在までドルリーレーン劇場と、スポンサーが変わるごとにロンドン市内を転々して、その学校運営を行ってきました。

Motleyの受験資格は21才以上、つまりこのコースは「大学院」クラスなのです。Motleyでは絵を描く技術は教えませんので、すでに大学や専門学校で美術を修得した人しか受験できません。建築やテキスタイルでもかまわないのですが、「絵が描ける」ことが求められます。

試験は面接、そして各自自分の作品をまとめたポートフォリオを提出します。受験申込は1月から4月末まで。コースは9月から翌年7月末までの1年3学期制、クリスマスとイースターに休暇があります。入学できる人数は10名。年によって受験倍率は異なるでしょうが、私の時で20倍から30倍だったと思います。受験希望者は世界中から申し込んで来きます。

パーシーは生徒を取る際に、その才能は勿論、10名の生徒のグループとしての「バランス」を最重要視していました。先生から学ぶだけでなく、クラスメイト同士で学び会う環境をとても大切にしていたのです。英国の生徒にも異文化との接触機会を設けることも必要だと考えていて、生徒10名のうち、半数は「外国人」を取るようにしていたと聞いています。

1990年、受験した私は実は11番目の「補欠」だったのです。各国からの受験生には様々な事情で、入学をキャンセルする場合があるので、数名の補欠を取るのです。8月になってアメリカからの入学予定者がキャンセル、私はめでたくMotleyの「グループ25(25回生)」となりました。クラスメイトは、英国各地から4名、アイルランド人3名、デンマーク人1名、イタリア人1名。1990年9月末にアルメイダシアターのカフェでみんなと初めて出会って入学のガイダンスを受けたのです。

参考文献:「Design by Motley」Michael Mullin著 University of Delaware Press 1996

投稿者 川南 恵 : 11:59 AM | コメント (0)

April 07, 2004

ゆるゆると仕事をする

4月にはいって、のんびりと仕事をしています。

毎年3月は「年度末」であるが故に、どうしても多忙になってしまいます。確定申告も、各事業の清算や報告書書きも、そして年度最後の駆け込みの事業なども、どんどん仕事が重なっての過密なスケジュールをこなさなければなりません。

会社勤めではないSOHOで生計を立てている身としては、仕事のスケジュール調整は自分でおこなわなければなりません。私はいつも毎日やるべきことを自分の仕事時間の60%で予定を入れていきます。そこに日々行われるコレスポンダンス作業などが入り、結果として、毎日の仕事時間は80%まで埋まります。できるだけ100%では仕事をしなくていいように調整する努力をしています。なぜなら不意にはいってくる仕事やアクシデントの為にその位は空けておく「必要」があるからです。プロしての心がけだと思っています。

それでも、どうしても仕事がかぶってしまい、100%、いえ120%の詰まり具合になってしまうことも年に1度位はおこってしまいます。この2月から3月がそうでした。

4月は新年度ということで、まだいろいろな企画が動き始めていません。ようやくゆとりをもって仕事をこなすことが出来て、ほっとしています。どんな分野の仕事でもそうですが、定期的に、身体や脳の緊張を解いて十分にゆるめることは「質の良い仕事を提供する」ために必要不可欠なことですね。

投稿者 川南 恵 : 11:14 AM | コメント (0)

April 06, 2004

演技のスキル:インプロ

インプロ(Impro)とは「インプロヴィゼーション(Improvisation=即興)」の略語です。「インプロ」というと、キース・ジョンストンのシアター・スポーツやなど、インプロ・シアターというパフォーマンスの「1つのスタイル、ジャンル」として定着していると思います。日本でもそのようなスタイルの劇団やグループが増えているようです。

「関西演劇ワークショップ」でも「俳優指導者養成ゼミ」でもインプロのレッスンを行いましたが、そこでは、インプロは1つの演技の「スキル(技術)」として使われています。

一口にインプロヴィゼーションといっても、世界中にいろいろなメソッド(システム)や方法が存在し、様々なテクニックがあります。ロンドンの演劇学校でも、インプロ=即興は俳優として学ぶべき演技技術の1つとして、基礎科目の中で教えられます。そしてアクティング部門とムーブメント部門にまたがって指導されてます。テキストを使った即興もありますし、コメディア・デラルテ的な即興、マスクを使った即興、ディバイジングの手法を使っての即興、ムーブメントインプロなんていうのもあります。また、エクササイズのためのゲームにも様々なインプロのテクニックが含まれています。

関西演劇ワークショップ Vol.8の講師、ロディー・モード・ロックスビーは1964年にキ-ス・ジョンストンらと共に英国初の即興とマスクを主体とした劇団シアター・マシーンを創設した人ですが、来日した時、「英国の演劇学校の殆どはカリキュラムの中にマスクという授業が入っていますが、仮面劇をするためにマスクを学ぶのではなく、俳優のトレ-ニングの一環としてとらえられています。今回のワ-クショップではマスクを使った即興や芝居を創造しましたが、マスクをつけたことによって得られた(いいタイプの)質(クオリティ)は繰り返し行っていくうちに、マスクなしでも得られると思います」と述べています。

このように、インプロという1つの演技術でも、その使い方は様々です。今後、このコラムでも他の演技のスキルについても順次述べていきたいと思います。

投稿者 川南 恵 : 05:17 PM | コメント (0)

April 05, 2004

Margaret "Percy" Harris

春は卒業、入学、就職などあわただしく環境が変わる時期です。卒業という言葉から連想して、ふと、自分の「恩師」の事を思い出しました。

私が恩師と仰ぐのは、ロンドンにあるMotley Theatre Design Courseの創設者、マーガレット・ハリス、通称「パーシー」です。パーシーは1904年5月28日ロンドン郊外に生まれ、2000年5月10日にロンドンで亡くなっています。

私がMotleyに入学した時、パーシーはすでに86才でしたが、私には70才代に見えました。
1990年当時、Motleyはエンジェルのアッパーストリートにあったアルメイダ・シアターのリハーサル室の上、2階フロアを借りていました。各国から入学してきた10人の生徒は倉庫のように薄汚れた教室で、玄関の鍵と、机と自分のスペース、ほうろうのマグカップとお皿、鍵のついた道具ボックスをもらいました。パーシーは自分の部屋のドアをあけ、生徒がいつでも話に来られるようにしていました。下のリハーサル室ではアルメイダの稽古が行われており、様々なシーンを演じる俳優の声が響く中での舞台美術の勉強は、毎日10時から17時まで、課題の発表「crit」前にはみんなで徹夜して作業をしていました。学校には24時間、365日いつでも入ることができました。

パーシー自身、偉大なデザイナーであり、その全盛期には素晴らしい家に住み、高級車を乗り回していたらしいのですが、人生の後半はデザイナーの人材育成にその財産を使ったように聞き及んでいます。

私の当時の英語力はひどいものでした。そんな状態で、はたして彼女の話をどれだけ理解できていたのかわかりません。でも、いつでも穏やかに言葉の不自由な生徒を見守ってくれて、的確なアドヴァイスをしてくれました。1年間のカリキュラムも、実によく考えられたものでした。

最近、Motleyでの1年間が、今の私が「俳優養成」に関わっていることに大きく影響していることを強く感じます。Motleyではどのようなカリキュラムだったのか、追々紹介していきたいと思います。

投稿者 川南 恵 : 11:55 AM | コメント (0)

April 01, 2004

お奨めの本「美味礼讃」/俳優・俳優養成に携わる方々

「美味礼讃」
著者:海老沢泰久
出版社:文春文庫
価格:638円+税

この本は大阪あべの辻調理師専門学校校長辻静雄氏をモデルにした物語で1994年5月に出版されました。単行本としては1992年に出ています。

日本で本物のフランス料理の調理師を育てる学校をめぐる料理の世界の物語ですが、なぜ、フランス料理の物語をここで紹介するのかは、読んでいただければおわかりになると思います。このフランス料理を「演劇」に、調理師を「俳優」にイメージしながら読んでいただければ、これからの日本の「俳優養成」の在り方の物語としても読める素晴らしい本なので、是非、俳優、俳優指導者、俳優養成機関の関係者の方は読んでみて下さい。

投稿者 川南 恵 : 09:34 AM | コメント (0)