February 25, 2004
芝居を見るコツ
ゼミも2週目になりました。制作側の総括はゼミ終了後、ゼミサイトで行います。
さて、森下スタジオでAさんと打ち合わせをしていた際、「芝居には見方を学ぶために沢山のいろんなものを見る時期が必要よね」という話になりました。ほぼ同世代のAさんと私の見てきた舞台芸術はかなり一致してたので話が弾みました。「あれ見た?」「うんうん、見た見た」という話ではお互いの舞台芸術の好みも近かったのですが、共に20代にずいぶんとお金と時間をかけていろんな種類の芸術を見てきたことがわかりとても楽しい時間をすごしました。
Aさんは私と似たような仕事に従事して、最近ではThe Gameがとても面白かったと言っていました。まず、役者がもう本当に素晴らしかったこと。言葉は広東語なので、字幕を見ながらの観劇になりますが、なにしろ空間の使い方や動きや、台本の読み込みなどとても深く、そして観客が個々にイメージを膨らませて観劇できる芝居だったとおっしゃってました。一方で、ある知り合いBさんが同じThe Gameを見て難しかった、言葉が機会出来ず、字幕もみにくいので理解できなく、よくなかったとの感想を聞きました。
この違いは単純に「好みがあわない」だけの問題ではなく、Bさんは海外の芝居を見るコツがつかめなかったのではないかと思いました。
海外の来日公演やオペラ、歌舞伎、能、文楽など、現代の生活に使われていない言葉を使った舞台芸術や、言葉そのもののない音楽、バレエ、コンテンポラリーダンスなどにはある程度見続けた経験がないと楽しみを享受しにくいものだと私は思います。Aさんは大変な数の様々な舞台芸術を見てきています。バブル全盛の時期に沢山の来日公演を見はじめた私達のおしゃべりで出てきた舞台は、東京グローブ座開場企画イングリッシュ・シェイクスピア・カンパニーの薔薇戦争7部作、ハムレットや令嬢ジュリー、メトロポリタンオペラやウィーン国立歌劇場の来日オペラ、モスクワ芸術座のかもめ、ケイティ・ミッチェル演出のRSCのヘンリー6世。歌舞伎に能に、俳優座でやった薔薇座のベント、ピナ・バウシュやトミー・チューンの主演ミュージカルのマイ・ワン・アンド・オンリー、ピーター・ブルックにロベール・ルパージュ、テアトル・ド・コンプリシテ、そして野田秀樹の走れメロスやゼンダ城の虜等々。
The Gameは2人芝居で、香港の劇団「劇場組合」が新国立劇場で公演中です。私はまだ見てみませんが、出演者のジムには彼が行ったワークショップを見学させていただいた際、お会いしました。
ワークショップでの彼は、一目で素晴らしい俳優だとわかる身体と声を持っていました。その立ち振る舞いから、ちょっとした動きに、十分に訓練された俳優であることがわかりました。これだけの情報でも舞台の上の彼はどんなに上手いだろうとも想像できます。しかしBさんは役者について何もいっていなかったので、言葉が理解できないことに苦しみを感じ、役者を見る余裕がなかったのだろうと思いました。Bさんに今度、どの位の芝居を見たことがあるか聞いてみますが、たぶん、自分の範疇、つまり小劇場以外の他の舞台芸術をあまり見たことがないのではと想像しています。
無駄なことも含め、沢山の舞台をお金と時間をかけてみることによって、その見方のコツがわかることは私自身の体験から知っています。私も見始めた当初はよく理解できないことが沢山ありましたが、だんだんとそのコツをつかんでくると驚くほど多くのことをキャッチできるようになりました。自己投資をした分はかならず回収できますから、みなさんも是非、沢山の舞台芸術に触れてそのコツをつかんで欲しい、そう思います。
投稿者 川南 恵 : 09:45 AM | コメント (0)
February 23, 2004
MacとWindows
ここ数ヶ月ほどある調査報告書を作成する作業に追われ、毎日文章作成、編集、校正を続けています。
今の世の中では原稿を書き、編集する作業にパソコンは不可欠なツールになっています。チラシの作成や予算書作成、仕事以外にも帳簿の整理や確定申告書作成等々、パソコンに向かわない日はないといっていいほど生活の一部になっています。この原稿の編集作業も、こちらで作成した原稿や他の執筆者の原稿を編集し、印刷会社の方とメールでレイアウトなどのやりとりをし、原稿もメールで入稿する。こんな課程をいとも簡単にやってのけるパソコンがなかったらどんなに膨大な作業時間になったでしょう。本当に心強いツールです。また、パソコン自体も5年前、いえ10年前とも比べものにならないほど進化しています。
でもMacとWindowsにはまだまだ互換性100%には至らないので、レイアウトやフォントの種類など、手こずることが多いです。私はMacユーザーなので、原稿のやりとりでちょっと手こずっています。いつか、あちらで作成した原稿がばしっとおなじレイアウトでこっちに帰ってくればいいなあ、と思いながら、校正のやりとりをしています。
投稿者 川南 恵 : 05:53 AM | コメント (0)
February 18, 2004
頭の切り換え方
「俳優指導者養成ゼミ」が16日(月)からはじまりました。
私は会場まで徒歩で行けるウィークリーマンションでの生活中です。
1日拘束をされるワークショップやコーディネートの企画が進行中に、他の仕事をどうしてもしなければならないとき、私は「早朝」に仕事をします。本来は1つの企画にのみかかりきりになれるのが理想ですが、なかなかそうはいかず、仕事をもってきてしまったりするのが現実です。今回も1つ仕事を抱えてのゼミ開催となりました。
なぜ早朝に仕事をするのか。
それはまだその日の企画自体が始まっていないので、そこで起こる問題やそれに対処すること、考えるべきことがないからです。企画の終了後はその日におこった様々なことに対応しなければなりません。その日のことはその日に解決しておけば、翌朝はまっさらな時間が作れます。もちろん解決するのに何日もかかる例外もありますが、それでもその日に手配しておきべきことをしておけば、その日の仕事は終わります。
私の経験では朝の1時間では、夜の2時間に相当する集中力が得られます。でも、早朝に起きて効率的に仕事をするのに睡眠不足では困ります。ですから前の晩はその日の反省や対応すべきことをすませ、さっさと寝てしまう。
朝、6時に起きれば3時間ほどの集中した時間がつくれます。私の場合、約2倍ほどの仕事ができますので結構な量をこなせます。
企画の最中に、別の思考へ頭を切り換えるということはなかなか難しいです。でも、物理的に環境を整えてやれば1日の中で全く違う時間をつくりだすことも可能です。私は早朝が好きですが、その日1日のまだ色の付いていない時間をつくりだすことができれば、どの時間帯でもいいのかもしれませんね。
投稿者 川南 恵 : 08:40 AM | コメント (0)
February 11, 2004
賞を取るということ
助成金の申請書の多くには「受賞歴」を記入する欄があります。
これはなぜでしょう?
地域で活動する舞台関係者にとっては、審査員の目にとまりにくい、なかなか公演へ足を運んでもらいづらいというハンディがあります。東京の劇団では公演数があまりにも多いので足を運んでもらえないというハンディもあります。助成金を出す側にとっては「知らない芸術家や団体」を判断する基準の一つに、この受賞歴はあるのではないでしょうか?
私は個人や団体をマネジメントする際に、もし、何かの賞を受賞したらとにかくその受賞を大いに利用させてもらいなさいとアドバイスします。賞味期限は1年。次の年になれば、また新しい受賞者が生まれますので、受賞した年にタイミング良くアクションをおこす必要があります。
今、活動のアドバイスなどのサポートをしている俳優さんが今年度2つの賞を受賞しました。1つは申請したもので、1つはいただいいた賞です。そして1つの受賞後、文化庁新進芸術家国内研修に申請し、それも内定しました。
受賞は本人の才能と運、そしてなにより常に向上しようとする研鑽の賜物ですが、その活動を世間に上手く「お披露目」できたからだとも思います。これからの数年間はその俳優さんがこの「波」をうまく使ってステップアップできるようアドバイスを続けていきます。
投稿者 川南 恵 : 09:56 AM | コメント (0)
February 07, 2004
ヴィデオで見る芝居について
先日、ある若い演劇をやっている人と話していて「劇場で生の芝居を見たいのですが時間もないし、お金もかかるから演劇をヴィデオで見て勉強しています」と言われてちょっとびっくりしました。
私は劇場中継や公演の記録として録画されたものはあくまでも「記録」としての情報でしかないと思っています。劇場で観劇することと録画された芝居を見ることとはまったく異なる体験です。録画はたとえば企画を売り込む場合など仕事で必要な情報として利用したり、一観客として、繰り返し見てみたい場合には十分に役に立ちますが、ヴィデオで公演録画を見ること=観劇にはならないと思います。
劇場で見る芝居では、生きた人間が発するエネルギーを感じる事が出来ます。人間の瞳はカメラより高度にできているので、テレビで見ると真っ黒につぶれて見える空間の中に存在する役者を、その動きを見分けることができます。舞台装置のディテールや遠近感、衣装のテクスチャーを見分けることもできます。隣に座っている人の息づかいを肌で感じ、自分の耳に直接聞こえてくる声や音を聞き、劇場中に広がるその空気を感じながらの観劇と、自宅で、テレビの前に座って、電話がなれば一時停止させ、飲食したり、早送りまで可能な録画での鑑賞が同じ「観劇」行為なのでしょうか?
録画を観劇の代用行為にすることで「演劇」を見た気になっている人の「お金がない、時間がない」というのは言い訳なんじゃないかなと思います。その人は本当は劇場にいく気など、そして本気で演劇をやる気などないのではないか、ふとそう思ってしまったのでした。
投稿者 川南 恵 : 11:50 AM | コメント (0)
February 03, 2004
サクラ、サク
1月も終わりになるといろいろな申請の結果が発表されはじめます。
昨年、私は平成16年度の文化庁の芸術家研修制度に国内研修1名と海外研修1名の申請サポートをしました。結果は2名とも内定をいただき、ほっとしています。
ほっとする理由は2つあって、1つには私は申請サポートを成功報酬方式で行っているので、申請が通らないと私の作業に対する労働の対価をいただけないということ、もう1つはやはりサポートの甲斐あってその申請者の願いがかなったという達成感です。
平成15年度は今「イギリス演劇留学レポート」を書いてくれている藤野さんをサポートし、送り出しました。しかし、以前には何人か申請のサポートや相談にのっても、残念ながら通らなかったケースもあります。どうしたら通るのかは、その年の他の申請者との相対的な結果ですから、なんとも言えないのですが、私なりに感じていることがあります。
申請する場合、まず、何を学びたいのかをはっきりさせて、そしてその目的にかなう研修先を見つけなければいけないのです。申請者が何をどうやって研修するかを少しでもぼんやりとプランしていた場合に申請が通らなかったケースが多かった気がします。
クリアな目標を持つこと。
そのためにはいろいろと申請者が自分自身のことー今までの経験やこれからの何をしていきたいかーを沢山の時間をかけて考えなければならないと思います。
研修制度の申請のサポートには、どこか「カウンセリング」に近いものがあります。申請者の話を十分に聞いて、質問をする。それを何回も繰り返します。私はサポートの依頼を受けるとかなりの時間をかけてこの「カウンセリング」の作業を行います。ですから申請希望者には「1年前~半年前までに」相談をしてくださいとお願いします。付け焼き刃の申請が通るほど甘い制度ではありません。
私は2名の内定を聞いてほっとしながら、すでに平成17年度の研修制度申請へのサポート作業を進めています。