December 31, 2003
ゆく年くる年
大晦日です。
私はこの業界に入ってから年末年始も仕事をしていたことのほうが多かったかもしれません。
特に商業演劇では1月2日初日なんて興行があります。12月31日まで仕込んで、1月1日だけ休んで、2日から仕事したり。
元旦早々に海外からの招聘カンパニーを成田に迎えに行ったこともありました。
この時期、海外との交渉ごとは先方がクリスマス休暇に入る12月中旬頃は要注意です。完全に連絡がストップします。でも1月は2日から平常業務に戻れたりします。キリスト教国ではキリストの生誕から12日目、1月6日までクリスマスの飾り付けが続きます。クリスマスの飾りはイコール新年の飾りなんですね。
一方日本では12月25日のクリスマスが終わやいなや、翌26日には一斉にお正月へむけた飾りに変わります。ショーウインドウの飾り付けや有線放送まで、昨日までクリスマス一色だったのにいきなり琴の音色が響き、日本のお正月を演出します。
ここ京都の錦市場もその頃から徐々に買い物客が増えて、31日ともなるとその混雑ぶりは身動きがとれないほどです。今日では年中無休のコンビニエンスストアもありますし、デパートなども1月2日には開店するのに、大晦日の雰囲気はお客の購買欲を促進するのでしょうか。
私は世の中のムードが一気に変わってゆくこの季節の「演出」で一年の終わりを感じます。いつかいろんなお店が25日の閉店後、どのようにその「飾り変え」を行うのか見たいなぁ。
だって、ちょっと舞台っぽいですもん、ね。
投稿者 川南 恵 : 10:49 AM | コメント (0)
December 23, 2003
大人になってから英会話をマスターするには
現在ロンドンへ演劇留学中の藤野節子さんや劇団MONOの演出家で劇作家の土田英生さんの日記をみればいかに「英会話」に悩まされているのがよく解ると思います。
私は海外に演技や演出の勉強に行きたいと留学の相談にくる方にはまず「今日から英会話の勉強を始めてください」と言います。留学が決まったらその時期から逆算して、どれだけの時間を渡航前の学習にあてられるかが留学中に吸収できることに大きく影響するからです。
「英語を使っての会話」は留学して自分の目的を達成するための手段です。いわば「道具」なのです。でも道具は使いこなせてこそ威力を発揮します。この道具、使いこなすためにはそれなりの時間がかかります。自分に合った効率的で効果的な道具マスター法を見つけだすためにも、一刻も早く始めて欲しいのです。
最近は母国語以外の言語を話せるようになるためにはどのような方法が有効かという研究が盛んです。日本人は学校教育で10年も学習しているのになかなか英語が話せないのはなぜか。この問題に関して研究者の間では脳の仕組みに注目して、言語学習のメカニズムが解明されつつあります。簡単に説明すると英語を聞き取り、そして話せるためには「英語脳」が必要になるのだそうです。脳の左側頭葉のウェルニッケ野という部分があって、日本語を理解するカ所と別に英語を理解するカ所ができないと、英語を英語のまま理解できないらしいのです。
私自身も1990年の夏から3年半、ロンドンへ留学していたことがあります。しかし、ロンドン生活を始めた時にはほとんど英語で「聞く、話す、読む、書く」ことができませんでした。
では、どうやって英語が上手くなったか?
どうやって私に「英語脳」ができたのか?
この話はまた別の機会に。
投稿者 川南 恵 : 08:51 AM | コメント (0)
December 18, 2003
あなたは何本見ましたか?
昨日のコラムで「稽古場や劇場ばかりにいないで、もう少し世の中を見渡してみませんか?」と書きましたが、訂正します。
「”自分の公演のために”稽古場や劇場ばかりにいないで」
他の芝居を見に行くために劇場へ頻繁に足を運ぶのは、当然です。
この業界でやっていこうとするなら「芝居を見る」ことが必要だからです。
先日、ゼミの面接で演劇をやっていきたい若い人に、年間何本くらい芝居を見るのかを聞いてみたところ、「今年は10本位見ました」と言った人がいました。
10本!
この業界で『演出家になりたいです』『作家になりたいです』『俳優になりたいです』と話す20代の人が、たったの10本です。
やりたい気持ちは本気なんでしょうけれど、それをかなえるための手段が間違っているなと感じてしまいます。小劇場で活動する若い人にはとにかく自分が舞台に立つことばっかりにかまけて、他の芝居をぜんぜん見ない人がとても多いです。また、見に行く芝居も、友人が出ているからなどの自分のテリトリー内、狭い世界でのものが多いようです。
どんな仕事をしていくにも20代はとにかく学ぶ時期ではないでしょうか?この業界でやっていく場合、この年代に何を「見た」か、吸収したかが、その後の人生を大きく左右すると言っても過言ではないでしょう。演劇は総合芸術です。勉強することはたくさんたくさんあります。文学でも音楽でも美術でも、クラシック(古典)からコンテンポラリー(現代)まであらゆるジャンルのものを見ること、知ること、学ぶことは決して無駄にはならないのです。それどころか、その蓄積が十分にないと途中で「息切れ」してしまいます。
私は舞台の裏方として仕事していますので、舞台に立つ俳優の気持ちはよくわからないんですが、昔、美術家のアシスタントをしていた時代に、座席数2300あまり劇場の舞台に1人で立ってみて、開演前のカラの客席を見渡したことがあります。2300人の視線を想像してみたいと思って立ってみたのです。凄い空気を感じました。カラの客席でそうなのですから、スポットライトをあびて満席の観客に見られるというのはとんでもない高揚感を得られるのだろうと思いました。きっと若い人達が芝居にでるのに夢中なのもそんな気分を100分の1でも味わえるからなのだと思います。でも、「気分」で続けられるほどこの業界も甘くはないのです。
どうか、沢山芝居を見に行って下さい。お金も時間もかかりますが、これは自己投資です。
”1年間、舞台に立たないで、見ることだけに徹する”
今これを実行することでどんなメリットがあるかを一度、じっくり考えてみてはどうでしょう?
投稿者 川南 恵 : 04:56 PM | コメント (0)
December 17, 2003
他業種に学ぶプロデュース力:「デパ地下」激戦区
私は京都在住です。住み始めて3年目になりました。
日頃仕事でパソコンに向かってばかりで運動不足になりがちなので、その解消法として1日1回は散歩にでるようにしています。
よく行くのがデパートの地下食品売場「デパ地下」です。京都の中心街、四条河原町から四条烏丸までの間には高島屋、藤井大丸、大丸と3つの「デパ地下」があります。
去年、四条河原町の高島屋が地下食品売場のレジを一部集中化させる改装で成功したのに続いて、大丸地下食品売場が今年10月に大改装を半分終えリニューアルオープンしました。営業を続けながらの改装で、残りの半分は来年2月から4月にかけて行うそうです。この大改装は成功だったようです。
今日付けの京都新聞に大丸食品売場は2ヶ月連続で前年実績を上回り、11月売上げは前年より6.5%増だったと書かれています。改装後の大丸も高島屋と同じくレジを集中化させています。また藤井大丸の地下はもともとがタベルトという東京代官山のスーパーマーケットですから、結果としてこの3店はデパートの地下食品売場を単なる小店舗の集合体からスーパーマーケットの機能の付け加えたということになります。購買客のために動きやすい、買いやすい動線を考え、1つ1つの売場での金銭のやりとりを一カ所のレジに集中させたのです。
これらデパートがいかに生き残っていくかを真剣に考えているのがわかります。常に購買客の「利益」を忘れない運営がこのように業績を伸ばしているのでしょう。購買客の「利益」はすなわち販売側の「利益」でもあります。「利益」とは「喜び」だと思います。
私たち舞台芸術に携わるものは、表現者側(販売側)の「利益/喜び」に囚われがちです。しかし、観客(購買客)の「利益/喜び」がなければ、観客は劇場に足を運んでくれるはずもなく、公演は成立しません。観客の立場にたった運営を考えることが演劇制作/プロデュースの現場に最も不足している気がします。
稽古場や劇場ばかりにいないで、もう少し世の中を見渡してみませんか?
他業種に学ぶことはいっぱいありますよ。
投稿者 川南 恵 : 04:35 PM | コメント (0)
December 15, 2003
知らない人達
「俳優指導者養成ゼミ」の募集では書類で1次審査をした後、2次審査として面接や電話でのインタビューを行いました。今回お話をした方は35名ほどでした。様々なバックグランドの方がゼミに興味をもっていただき、私もお話を通じて色々と勉強になりました。
なかでも私が興味をもったのは「芝居」を見ていない、知らない人です。
良く話には聞いていました。大学の演劇科や俳優養成所を受験してくる若い人達が「好きな作品は?俳優は?演出家は?」という問いに、「見ていません」「知りません」と答えることがとても多いってことを。今回、私も初めてそのような方に数名出会いました。
自分が入っていこうとする世界をよく知らないで選び、活動している人達。
度胸があるのか、短絡的なのか、自分の気持ちに正直なだけなのか・・・。でも、そういう関わり方では長続きはしないと思いますし、大きく羽ばたくことは大変困難だと思います。
どうか、知識を得ることにもっと貪欲になってください、ね。
投稿者 川南 恵 : 11:40 AM | コメント (0)
December 06, 2003
読めない人達
来年2月に東京森下スタジオで開催する「俳優指導者養成ゼミ」の申込者の面接を12月4日と5日に東京で行いました。
今回のゼミ募集では、受講者の選考作業はまず書類審査をして、次に面接を行った上で最終的に受講いただく方を決定します。面接会場は東京と京都の2カ所に設定し、そこに来られない遠方の方へは電話でのインタビューを行うことにしました。
私、このゼミの受講者募集の過程で色々なことを考えました。
まず、「締切をすぎても応募してくる人」が以外に多いのです。
まあ、ワークショップなどは定員に達しなければ締切を過ぎても参加者を受け入れたりしますから「締切」を主催者も参加者も安易に考えがちです。
しかし、このゼミ、募集要項を精読すれば分かるけど「選考方法」って書いてあるんです。
これは意味としては「オーディション」なんです。募集要項に書いてある条件に不備がなければ面接に移るってことです。
みなさん、どうやらこの意味をきちんとわかっていなかったようです。
「締切は守るためにある」という一般社会では「あたりまえ」のことがどうやら通じないらしい。
ゼミの申込者で締切の「12月1日(当日消印有効)」を過ぎた方は自動的に書類審査に「落ちた」ことになります。サイトでも申込を受け付けましたので、12月1日の24時をもって応募の受付は終了しました。
でも、まだ毎日届くんですよ、、申込書が(笑)
次に「募集対象」の年齢をはるかに超えた方の申込が数件ありました。
ま、それを承知で申し込まれたのでしょうから、書類落ちは予想されていたでしょうけれど。あと経験者でない方もいました。
このような現象で私が一番気になったのは上記のような申込をされた方の読解力です。
「俳優または演出家」が応募要項1枚読めずに戯曲を解釈できるんかな??ってことなんですがね。
このゼミ、2004年度も開催しますので、その際は「締切を過ぎた申込及び募集対象外の方は審査対象になりませんのでご注意ください」とか細かく書いてみようと思います。
でも、何を書いても、ま、読まない人は、読まないですけどね。