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November 27, 2003

アクターズ・センター

ロンドンの劇場街ウエストエンドにほど近い場所に「アクターズ・センター(The Actors Centre)」があります。

アクターズ・センターは今から27年前、当時有名であった3人の俳優John Oblerton, Sheila Hancock, Clive Swiftによって始められました。センターは、プロの俳優がネットワーク造りが出来る場所として、また、俳優訓練は一生続くという考えを基盤に、ドラマ・スクール卒業後も引き続きトレーニングができるようにという2つの主な目的から成り立っています。

現在会員は約2000名で、その内約500人が頻繁にクラスを受ける会員。クラスのプログラムは年に3回、3、4か月に一度発行され、メンバーに送られます。クラスは1日クラスから5日間のワークショップ、または毎週1回ずつあるクラスや予約制の個人レッスンなど様々な形をとっています。

内容はアクティングはもちろん、ヴォイス、オーディション・テクニック、インプロ、ショーケース、テレビ、映画、歌、アレクサンダー・テクニーク、ダンス、ラジオ、道化、劇作、そして個人税金(経済困難)相談まであります。教師もプロの演出家であったり、有名な俳優であったり、いろいろな背景の人が教えています。

クラスによっては、プログラムが送られた途端に埋ってしまうクラスもありますが、ポリシーとしては会員全員がどれかのクラスはとれるように、クラス数が設置されています。値段もまちまちで、9ポンドー100ポンド(1ポンド=約200円)まであります。予測の付かない役者の生活を考慮して、クラスは予約後キャンセルできるようになっています。ただし、現金が返される訳ではなく、次回のクラス受講の時のクレジットとしてコース費の80%が会員の名前に付加されます。

センター運営のための援助金は企業や個人からのスポンサーから成り立っており、そのほとんどが放送局から来ています。彼等はテレビ、映画に必要な質の高い演技者を育てるための投資だという風に考えているそうです。その援助金が年間約200,000ポンドで、センター全体の運営資金の約五分の二をカバーするそうです。その他は会員費やクラス費などで賄っています。クラスを受ける俳優1人1日25ポンドの費用という計算になります。過去に赤字を出したことはありません。

現在の芸術監督はマシュー・ロイド(Matthew Lloyd)で、日本でも1995年に来日、東京・渋谷のパルコ劇場で「クラウド9」を演出した経験のある演出家です。この芸術監督はいつでも存在する訳ではなく、いない時期もあったのですが、有名な演出家が芸術監督を務めていると、外部の人の認識度が高くなる上に、その人のコンタクト、ツテでいい教師を招くことができるとのことです。

現在、日本人俳優が日本からロンドンで研修などにいった場合でも正規の手続きをふめば、アクターズ・センターのクラスを取ることができます。勿論、クラスは「英語」で行われますが。。。

The Actors Centre

Address:1a Tower Street London WC2H 9NP
Tel: 020-7240-3940
Fax:020-7240-3896
General enquiries:admin@actorscentre.co.uk

投稿者 川南 恵 : 03:32 PM | コメント (0)

スコットのマイズナー・テクニック

俳優指導者養成ゼミのサイト(www.unit-duo.net/seminar/)で連載している「せつこのロンドン演劇留学レポート」で紹介されているインパルス・カンパニー(Impulse Company)のスコット・ウィリアムズ(Scott Williams)が教えている「マイズナー・テクニック(Meisner Technique)」のことについてロンドン在住で現地の演劇学校を卒業してプロとして活動されている日本人俳優の方に伺いました。

Q: マイズナー・テクニックについて教えて下さい。
A: マイズナー・テクニックはもともとサンフォード・マイズナー(Sanford Meisner)によって始められたもので、彼はスタニスラフスキー・システムを初めてアメリカで学んでいたグループの中の一人だったのです。アメリカではリー・ストラスバーグのアクターズ・スタジオと並んでマイズナーの学校であるネイバーフッド・プレイハウスがあり、沢山の有名人が彼に教わっています。例えば「オレアンナ」や「アンタッチャブルズ」で有名なデビッド・マメット、俳優・映画監督として有名なシドニー・ポラック、「欲望と云う名の・・・」、「熱いトタン屋根の猫」などを監督したエリア・カザンなどです。

Q: マイズナー・テクニックの具体的なエクササイズを教えて下さい。
A: 基本エクササイズはリピテーション・ゲーム(Repetition Game)と言って、二人向き合って座り、相手をじっと見て、何か具体的に相手について気がついたことを言葉にして言う。すると相手はそれを繰り返す。また最初の人がそれを繰り返す。これを続けて、もしどちらかが新しく何かに気がついたら言葉を変えて同じことをする。ごく単純なゲームなのですが、高度になればなるほど、これが中々難しいんです。ポイントは相手の動向を適格に判断しつつ、自分の直感的感情に素直に従うこと。上級になると相手の心情も汲み取って行かなければならなくなります。ネイバーフッド・プレイハウスでは感情(emotion)を重視しているようですが、スコットは自己陶酔型の役者が嫌いなので真実(truthfulness)を重視しています。この説明ではよく分からないでしょうが、マイズナー・テクニックの中心がこのエクササイズで、あとは全てそのバリエーションと言えます。

Q: マイズナー・テクニックは俳優にとってどのような効果があるのでしょうか?
A: とにかく演技の仕方というものは、教えることが非常に困難で、不可能だとも言えますよね。でも、バレエ・ダンサーのバー・レッスンのように、基盤となるトレーニングをすることによって、ある筋肉(マイズナーの場合は肉体的な意味ではありません)を鍛えることはできます。そうすると、楽に自然な演技が出来るようになるわけです。マイズナー・テクニックでは以下のような習慣が身に着きます(というか以下を目指します)

・台詞の言い方を決め込んでしまうような演技をしなくなる
・動物的/直感的な感覚が鋭くなる。それによってよって瞬間瞬間にその場で本当に起っていることに反応できるようになる。
・自信が付き、余裕が持てるようになる
・社会的規範と習慣を超えた自分を発見できるので、どんな役でも出来るようになる。役の範囲が広がる。
・自己陶酔しなくなる
・自分の演技の出来を相手役に責任転嫁しなくなる

 スタニスラフスキーの問題点は目的(objective)を強く念頭に置くので、そればかりに注意が行って、実際にその場で起こっていることが見えなくなりがち。さらに、すでにどの方向に行くか決めてしまっているので、驚きがない。とは言っても、マイズナーもスタニスラフスキーから派生しているので基本的な考え方は似ていますし、要素はいろいろと使われています。リー・ストラスバーグのメソッドは、ある感情には辿りつけますが、自分の過去の体験を使うことが多いので、やはりその場で実際に起こっていることへの意識が薄くなる可能性があります。もちろん、マイズナーにも手薄なところはありますが、日本人の役者さんに必要なところは全て押さえていると思います。

 日本で行われている演出家のワークショップの問題点は、どうしても演出家的な視点になってしまうということです。その時は演出家として演技の手助けをしてくれますが、役者が一人になった時、つまり良くない演出家に当たった時、どうしたらいいかを教えてくれないということです。だから、役者として何か系統だった引き出し(tool box)を持っていないと、毎回イチカバチカになってしまうわけです。

Q: ご自身でスコットのマイズナー・テクニックのレッスンを受けていてどうですか?
A: 自分の体験からしかお話しできないのですが、スコットのところでマイズナーをやり始めて、私自身は役者として変わったと思います。もちろん演劇学校での経験や、ヴォイス、アレクサンダー・テクニークなど全てが役に立って今日までに到っているのですが、取って付けたような演技をしなくなったのはマイズナーを始めてからのことです。もちろん演劇学校時代も、ある役として本当にその場に生きるという瞬間が何度もありました。でも、それは持続性がなく、どうやったら毎回それが出来るのかが分からなかったんです。

投稿者 川南 恵 : 11:10 AM | コメント (1)

November 17, 2003

助成金申請書の書き方1

さて、実は申請書を書き始める前にやっておかなければならないことが以外と沢山あります。
まず第1にしなければならないことは「自分(達)を知る」という作業です。
下記のような質問を自分(達)でしてみて下さい。

1.現在の自分(達)の活動状況を確認する
 a. 自分(達)の活動趣旨とはなにか?
 b. 活動を構成しているのは「個人、劇団、プロジェクト毎のユニット」のどの形態か?
 c. これまでの年間の企画・公演数はどの位か

2.これから自分(達)の活動は今後どのように発展していくか(いきたいか)を考えてみる

3.自分(達)の活動の目的は何か、その活動に助成金は必要か、考えてみる。
  必要な場合、なぜか必要か考えてみる。

4.自分(達)活動の助成金申請の可能性度をチェックする
 a. 制作担当者がいるか?いる場合、専任者か?
 b. 年度毎に予算を立て、各公演終了後に収支を明確にした決算をしているか?

どうでしょうか。うまく答えられたでしょうか?

舞台芸術関係の助成金申請の時期は秋から冬にかけて集中していますが、この作業はいつでもはじめられます。今後、助成金の申請をしてみようと考えている方は是非、今から取り組んでみて下さい。

次回は助成金申請の「相手を知る」です。

投稿者 川南 恵 : 04:31 PM | コメント (0)

November 14, 2003

お奨めの本「演技のインターレッスン」/演技・演出

「演技のインターレッスン」
著者:ジュディス・ウェストン
訳:吉田俊太郎
出版社:フィルムアート社 http://www.filmart.co.jp
価格:2800円+税

原題:DIRECTING ACTORS -CREATING MEMORABLE PERFORMANCES FOR FILM AND TELEVISION
著者:Judith Weston
出版社:Michael Wiese Productions

この本は2002年に翻訳出版されました。著者のジュディス・ウェストンはアメリカ合衆国・ロサンゼルスで自身のスタジオを持っていて演技指導者として活躍しています。著名な映画監督たちも彼女のレッスンを受けています。この本は「映像ディレクターの俳優指導術」となっていますが、舞台の演出家はもとより、舞台俳優の方にも是非是非読んでいただきたい本です。私は出版されている様々な「演技について」の本の中でもこれほど具体的でわかりやすい本を他に知りません。

多くの演出家は『自分のもっている想像上のイメージの効果(リザルト)のみを俳優に求めてしまう演出法ー「リザルト演出」(演技のインターレッスン/ジュディス・ウェストン著、吉田俊太郎訳、フィルムアート社)』を行いがちですが、その具体的な説明と解決法など詳しく書かれています。尚、この本は書店によっては映画のコーナーに置いてあることが多いので注意して探してみて下さい。

ジュディス・ウェストンのHPは http://www.judithweston.com/

私はいつか、ジュディスを日本に招聘してワークショップをしてみたいなぁと考えています。どなたか、興味、ありません??

投稿者 川南 恵 : 04:39 PM | コメント (0)

November 13, 2003

お奨め本「話す権利」/ヴォイス・トレーニング

このコラムでは舞台芸術に関する様々な役にたつ本も紹介していきます。
まず、ヴォイスの本。

「あなたの生き方を変える ボイストレーニングの本 話す権利」

この本は2001年に翻訳出版されました。著者のパッツィ・ローデンバーグはロンドンのロイヤル・ナショナル・シアター(RNT)とギルドホール音楽演劇学校(Guildhall School of Music and Drama)のヴォイス部主任で、また世界各国でも指導を行っている有名なヴォイス指導者です。この本は俳優の方はもちろんですが、いろいろな方に読んでいただきたい本です。

著者:パッツィ・ローデンバーグ
訳:吉田美枝
出版社:劇書房 http://www.geki-shobo.co.jp/

原題:THE RIGHT TO SPEAK - Working With the Voice
著者:Patsy Rodenburg
出版社:Methuen Drama

また同じ出版社から同じ著者で;

THE NEED FOR WORDS - Voice and the Text
THE ACTOR SPEAKS - Voice and the Performer

も出版されています。
この2冊も早く翻訳出版されるといいなぁ。

投稿者 川南 恵 : 11:55 AM | コメント (0)

November 12, 2003

RNTの「三人姉妹」

10月に仕事で10日間ロンドンに行きました。
ロンドンは私が1990年7月より3年半暮らしていた街です。帰国後もちょくちょく仕事で行き来していますが、今回の滞在は2年半ぶり。久しぶりのロンドンは前回渡英したときよりもさらにお洒落に、そして物価高の街になっていました。

ロンドンでの楽しみはなんといっても観劇です。2年半前の滞在中にはロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)で当時話題のプロダクション「This England The Histories」というシェイクスピアの薔薇戦争8作品を全部見ることができました。
1週間で8本です。。。(笑)土曜日には朝11時から夜の11時まで劇場にいて、「ヘンリー6世パート2」「ヘンリー6世パート3」「リチャード3世」を見ました(笑)
歌舞伎の「忠臣蔵」の昼夜興行を見る感じですね。

今回は芝居は控えめに2本だけ見ました。
演目はドンマー・ウエアハウスでジョン・オズボーン作「ザ・ホテル・イン・アムステルダム」、ロイヤル・ナショナル・シアター(RNT)のリトルトン劇場でチェーホフ作「三人姉妹」です。

「三人姉妹」は批評がまっぷたつに分かれていて、どうしようか迷ったのですが、演出家のケイティ・ミッチェルとデザイナーの日本でもtptでお馴染みヴィッキー・モーティーマーということで友人と連れだって見に行きました。いやー、素晴らしいプロダクションでした。女性演出家だからなのか、姉妹の関係性や女性の心理描写が繊細で豊か。美術のバランスも空間処理の仕方も抜群でした。そしてさらに感心したのは若い俳優がとてもうまかったことです。パンフレットに載っている彼らの経歴を見るとRADA、LAMDA、Webber Douglas, Central School of Speech and Dramaなど優秀な演劇学校の出身者なのです。これらの学校で3年間みっちり専門教育を受けた若い俳優達に支えられている英国演劇界をあらためて羨ましいと感じた舞台でした。

優れた俳優を輩出している英国の演劇学校とはどんなものなのか。
この話題もここで随時取り上げていきたいと思います。

投稿者 川南 恵 : 09:01 PM | コメント (0)

November 11, 2003

秋は申請の季節

私が京都に移り住んで3年目の秋です。
町は観光客で連日にぎわっています。紅葉も見頃です。
それを横目に私は申請書とにらめっこの日々が続いています。
私にとっては秋は「助成金申請書書きの秋」なのです。
自分の企画の申請書は昨日も1件、書き上げ提出しました。今週中にもう1件、さらに12月から来年2月まで毎月1件ずつの提出です。それとは別にマネジメントしているところの申請書を数件見てあげなくてはいけません。

助成金の申請書は書き慣れていない人にとっては、なかなか書き進められないやっかいなものです。でも書き方のコツさえわかっていればそれほど時間はかかりません。
今後、ここで「助成金申請書の書き方」のコツをご紹介していきたいと思います。

投稿者 川南 恵 : 09:28 AM | コメント (0)